みやの/(20)


T163/ B94(G)/ W60/ H102

お兄ちゃん、だいしゅき

バーの薄暗い照明の下、彼女の白い肌がまるで蝋細工の人形のようにも見える。グラスを傾ける仕草はどこか危うげで、まるで今にも壊れてしまいそうだ。

「ねえ、あなた」
彼女は僕を見つめ、ふっと口角を上げた。その笑顔は、まるで月の光のように儚げで、それでいてどこか妖艶な魅力を湛えている。
「私、まるで蝶々みたいでしょう?」
唐突な言葉に、僕は思わず眉をひそめた。蝶々? なぜ?
「蝶々…? どうして?」
「だって、綺麗でしょう? でも、すぐに死んでしまうのよ」
彼女はそう言うと、悲しげに目を伏せた。その様子は、まるで壊れかけのオルゴールのようだった。
「でも、蝶々は短い命の中で精一杯生きるじゃない? 私もそうでありたいの」
彼女は再び顔を上げ、僕に微笑みかけた。その笑顔は、まるで夜空に咲く花火のように美しく、そして儚かった。
「あなた、私のこと…どう思っているの?」
彼女の問いかけに、僕は言葉に詰まった。どう思っている? そんな簡単に答えられるはずがない。彼女は僕にとって、あまりにも複雑で、理解しがたい存在だった。
「わからない… 君は、まるで… 鏡の中の幻みたいだ」
「幻…?」
彼女は少し寂しげな表情を見せた。まるで、自分の存在を否定されたかのように。
「そう。掴もうとしても掴めない。まるで、夢の中にいるみたいだ」
「夢… なら、覚めないでほしいわ」
彼女はそう言うと、僕の手にそっと触れた。その指先は、まるで氷のように冷たかった。
「あなたは、私を理解しようとしてくれる… でも、できないのよ。だって、私自身、自分のことがわからないんだから」
彼女の言葉は、まるで深い霧の中に迷い込んだようだった。理解しようとしても、その先が見えない。
「でも、それでもいいの。あなたは、ただそばにいてくれればいい」
彼女はそう言うと、僕の肩に頭を倒した。
「ねえ、あなた。私、いつか消えてしまうかもしれない。まるで、朝露のように…」
彼女の言葉に、僕は胸が締め付けられるような思いがした。消えてしまう? そんな…
「そんなこと… 言わないでくれ」
「でも、本当のことよ。だから、今のうちに… たくさん、私を見ていて」
彼女はそう言うと、僕の腕に しがみついた。まるで、溺れる者が藁をも掴むように。
「お願い… 私を、忘れないで」
彼女の懇願するような瞳に、僕は何も言えなかった。ただ、彼女の豊満な体を抱きしめ、そこに存在する温かさを確かめることしかできなかった。

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