みやの/(20)


T163/ B94(G)/ W60/ H102

こういう日ってあるわよね

僕は、濃い緑色のベルベットのソファに深く腰掛け、目の前の彼女をじっと見つめていた。彼女は、白いレースのブラウスに真紅のスカートを纏い、まるでアンティークのドールのように美しい。だが、その瞳はまるで深夜の湖のように底知れず、僕を不安にさせる。

「ねえ、あなたって本当に面白いわ。まるで、雨上がりのアスファルトに咲いたタンポポみたい。」
彼女はそう言って、くすくすと笑った。タンポポ?アスファルト?一体何を言っているんだ?僕は困惑しつつも、平静を装って曖昧に微笑んだ。プライドの高い僕は、彼女の言葉の真意を理解できないまま、取り乱す姿を見せるわけにはいかない。
「そうかな?君こそ、まるで…えーっと、博物館に飾ってある古代エジプトのミイラみたいだ。」
咄嗟に思いついた言葉を口にしたが、我ながら酷い比喩だと思った。しかし彼女は、僕の言葉に全く動じることなく、むしろ楽しそうに目を輝かせた。
「ミイラ?ふふ、面白いわね。でも、私はミイラみたいに静かじゃないわよ。ほら、見て。」
彼女はそう言うと、まるで蝶のようにひらひらと踊り始めた。その姿は、まるで蝋燭の炎が揺らめいているようにも見えた。彼女の奇妙な行動に、僕はますます混乱していく。
「ねえ、もっと怒ってよ。まるで、茹で上がったタコみたいに真っ赤になって怒鳴ってよ。」
彼女は挑発するように僕を見つめる。一体なぜ彼女は僕を怒らせたいんだ?理解できない。しかし、彼女の言葉は奇妙な興奮を僕にもたらすのも事実だった。僕は抗えない衝動に駆られていた。
「…もう、いい加減にしてくれ。」
僕は低い声で言った。彼女は僕の言葉に満足したように、満面の笑みを浮かべた。その笑顔は、まるで夜空に浮かぶ満月のように美しく、そしてどこか不気味だった。
「ふふ、やっと怒ってくれた。あなた、怒った顔も素敵ね。まるで…、まるで…」
彼女は言葉を詰まらせた。そして、しばらく考え込んだ後、こう言った。
「まるで、ゴミ箱から拾ってきた壊れたオルゴールみたい。」
壊れたオルゴール?一体どういう意味だ?僕は理解しようと努めたが、無駄だった。彼女の言葉は、まるで暗号のように僕の頭の中を駆け巡る。しかし、その奇妙な言葉たちは、なぜか僕の心を深く揺さぶるのだ。
僕は、彼女の底知れない魅力に抗う術を知らない。まるで、蜘蛛の巣にかかった蝶のように、僕は彼女に翻弄され、そして魅了されていく。彼女の言葉は、まるで呪文のように僕を縛り付け、僕は彼女から逃れることなどできないだろう。
まるで、それは永遠に続く悪夢のように…。

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